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エンゼルケアアーカイブ
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医療界で使用されるご遺体処置の名称統一について

 

長沙民政職業技術学院 遺体管理学教授  伊藤 茂 氏

 

現状

 

医療機関で行われてきたご遺体の処置の名称は、「死後の処置」として古くから使われてきた。
しかし、この名称には「死」の言葉が使用され、大切な家族や知人を失った直後のご家族や関係者に対し使用する名称として好ましい言葉とは言えない。
また「死後の」との表現が非常に直接的表現であり、ご家族の心理状況を考えると、他の名称の使用が望ましい。
ここ数年、「死後の処置」に代わり「エンゼルメイク」の名称を使用する施設や機会が増加している。
この「エンゼルメイク」との名称も造語であり、正式な物ではないが、医療現場をはじめとして広く世間に認知されつつある。
そして、この「エンゼルメイク」の名称についても検討を行い、統一した見解や考えを持つ必要がある。
特に今後は各施設内での研究会や委員会活動、看護協会や学会での発表、教育機関等での研究が予測され、統一名称が必要となる。

 

 

名称の混乱

 

素敬HPへの接続者の検索キーワードでは「エンゼルメイク」との名称での検索が最も多いとの話である。
「エンゼルケア」との検索も多く、続いて「エンジェルメイク」、「エンジェルケア」となっている。確かに英語表記では「Angel」であり、口語ではエンゼルともエンジェルとも表現されるかも知れない。
現在、「死後の処置」の代わり主として使用されている名称は「エンゼルメイク」であるが、「エンゼルケア」も広く使用されている。
「Care:ケア」は「看護・介護」の意味があり、ご遺体に対する処置は遺体管理の中の全身に至る処置であり、顔に対するメイクに限定された処置ではないため、「エンゼルメイク」よりも「エンゼルケア」の方が適している。
「エンゼルメイク」との表現はメイクに限定したイメージを与え、院内や現場で行われているご遺体に対する処置に対して「メイクに限定された処置」との誤解を与える可能性がある。
現に、看護職内においても「エンゼルメイク派」と「エンゼルケア派」に分かれているようだが、わたし自身は個人的には「エンゼルケア派」である。

 

 

他分野との混用

 

ご遺体の処置に関して「エンゼルケア」との名称が適していると考えるが、他分野との混用に配慮しなければならない。
「エンゼルケア」の名称は介護現場で使用されており、介護系企業名にも広く使用されている。
また、葬儀現場では既にご遺体に対する有償処置サービスとして使用されており、処置内容はご遺体の清拭、メイク、着替えなどで、医療現場で行うご遺体に対する処置と重複する部分が多い。
また、「エンゼルケア」が医療業界内部でも「乳幼児看護」と解釈されている場合もあり、「乳幼児とご遺体」との相反する分野での混用が指摘されている。
そのために、「エンゼルケア」の名称が企業名や葬儀系企業のサービス名になっていることから、「エンゼルケア」を看護職が行うターミナル・ケアとしてのご遺体の処置に使用することは望ましくない部分もある。
医療現場や介護現場で行われるご遺体に対する処置は、医療行為や介護行為の延長線上にあり、「最後のケア」としての非常に重要な意味合いがある。
医療としてのご遺体の処置は、他と一線を隔す必要もある。

 

 

名称の統一

 

本来は、「エンゼルケア」の使用がより実態に即しているが、前記事項により「エンゼルメイク」との名称に統一していくことが望ましいと結論づけざるをえない。
「エンゼルメイク」の名称は、作家の小林光恵氏達により立ち上げられ、運営されている「エンゼルメイク研究会」に起因する。
既にこの名称は5年以上の使用実績があり、医療界をはじめとして看護界では広く認知された名称である。
看護専門誌の掲載や学会等での発表においても「エンゼルメイク」が通用され、今後の名称は「エンゼルメイク」の使用が多くなることが明らかである。
表記としては、「エンゼルメイク:Angel make」を使用し、エンゼルメイクは顔のメイクに限定せず、ご遺体全身のケアを表すものと考える。
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