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エンゼルケアとは
エンゼルケアの手順と内容

エンゼルケアの場面でご家族がご遺体に向き合い、かかわる状況をつくるにはそれを阻害する状況に対応しなければなりません。その際に、旅立ち逝く人の表情や姿が「自然で穏やか」かどうかという視点を持って、具体的なケアを提供されることをおすすめしたいと思います。
臨床の場で死に至った患者さんは、生前に少なからず医療行為を受けておられるでしょう。自然で穏やかな状況への第一歩は、医療行為後のケアを万全にすることです。不要なチューブ類や医療器具類、いわゆる物質的なものは可能な限り取り外し、テープ類等をむやみに取りつけないように注意します。また、医療行為や病変で生じた外観の変化や侵襲の手当てを行います。医療行為によって生じた傷や痕跡は、治療や延命のためにやむを得ず残されたものですが、それをできる範囲で自然な状態に整えるのは医療者としての責務です。また、不自然な死後変化を人為的に引き起こすような処置をしないことも大切です。手や顎を縛るなど、従来の死後処置のなかには、局所的浮腫などの不自然な状況を人為的に引き起こす手順が含まれていました。ここに意味があるのなら仕方のないことですが、検証を重ねても何の意味も見出すことはできないため、これらは不要な処置と言えます。不自然な状況をつくらないための予備知識として、遺体の死後変化を学ぶことも大切です。しかし、遺体現象自体は自然な変化のため、遺体現象を防ぐことが自然で穏やかな状況をつくることではありません。また、遺体へのケアを万全にすることで、自然な状態を回復することも不可能ですし、もし、万全なケアによってご遺体がきれいに整った状態になったとしても、それが必ず死の受容への援助になるわけではないことを、十分に承知しておかなければなりません。
具体的なケアの提供には「自然で穏やか」な視点を持って、阻害要因を取り除くことを基本としながら、遺されたご家族が目の前のご遺体や遺体現象をどのように捉えているのか、どのように向き合おうとしているのかを注視して、都度にできることを考え、対応していくしかありません。なにもしないという選択肢が必要になることもあるでしょう。
標準的なケアの提供のためにマニュアルや手順、物品を整えることは大切ですが、最終的にはそれぞれの現場でご家族の思いを感じ取り、限られた時間のなかで「できること」をケースバイケースで提供してください。


エンゼルケアの内容

 
・患者さんの身体を清潔にする(保清)

・医療器具抜去後の手当てや創傷等のケアを可能な限り行い、患者さんの血液、体液、排泄物等が漏出しないようにする

・医療行為や病状により生じた外観の変化をできるだけ目立たないようにして、自然な状態に整える



必要備品の例

 
清拭備品(熱めの湯、フェイスタオル、バスタオル、バケツ等)、シーツ、着替え、紙おむつ、尿パット、吸水シート、脱脂綿、ピンセット、消毒薬、包交セット(防水処置用品を含む)、逆性石鹸水(オスバン等)、オリーブオイル、化粧品セット(クレンジングミルク、保湿クリーム、クリームファンデーション、リップ、クレンジングシート、櫛、ヘアーブラシ、寝癖直し用ヘアーウォーターなど)、I字・T字剃刀または電気剃刀、電気剃刀用シェービング剤、入れ歯安定剤、爪切り、白布、ごみ袋(必要時ディスポーザブル手袋、マスク、プラスチックエプロン、腕固定用クリップ)


エンゼルケアの手順の例

 

機械、酸素マスク等の取り外し
悲しみの時間(お別れ時間)の提供
ルート類、気管カニューレ、CVカテーテル、ドレーン、胃瘻等の抜去、ストーマ等のケア
創部(褥創、手術創等)のケア
鼻腔ケア
口腔ケア
口元の整え・義歯の装着・顎閉じ
目のケア(閉眼)
清拭・洗髪
陰部のケア(洗浄・排泄のケア)
着替え
エンゼルメイク(化粧)
ヘアケア・爪切り
全身の整え
その他一切のケア(声かけ、傾聴、所作など)

 

 

参考文献:エンゼルメイク・アカデミアブック①『エンゼルケアのエビデンス!?』

 

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