boxtop.gif
エンゼルケアとは
医療が死にかかわる意味

医療が死にかかわる社会的背景は、死亡場所が病院等の施設に変わり、人が目の前で死んで逝く状況にあるということです。施設死亡が増えた理由として、医療技術(延命技術)の発達や入院給付金特約の付いた任意保険への加入者の増大などさまざま挙げられますが、個人主義の名のもとで核家族化がすすみ、家族や地域との結びつきが希薄になって、いわゆる無縁社会がつくられていったことが最も大きな原因だと思います。
かつての日本社会では、個人の死は家族にとっての死であると同時に、地域の共同体(ムラ)にとっての死でもありました。日本人は地域共同体の永続を重んじていたため、個人の死は共同体の維持に大きな影響を与えるからです。そのため、死者を弔い送る習俗のすべては、家族や親戚縁者、共同体の人々の手によって当たり前に行われていました。それが自ずと死に向き合う経験をつくり、死生観を養うかけがえのない場面がつくられていたのです。
戦後の日本は、生、健康、若さ、科学技術、経済効率に価値を置く社会へと変わっていきました。価値を生み出さない死はタブー視され、「生が絶対、死は敗北」の風潮は、死を現実から隠蔽してしまいました。経済的、物質的な豊かさをよりどころとする社会構造によって、個が利益を求め、都市化がすすみ、コミュニティや人と人とのつながりが崩壊しました。かつて行われた家族や地域社会による弔いの習慣は風化し、生活の場から死が消え去り、死を視ることも向き合うこともなくなってしまいました。死はただでさえ無力な状況ですが、現代社会の人々は死を前にますます無力になり、死が本当に現実化しても「なにもできない、どうしたらいいのかわからない」のです。
医療が死にかかわる意味とは、現代社会の人々が、死に向き合い、死にかかわり、死を受け入れる環境を整えることではないでしょうか。端的に言えば、死の受容への援助を行うことが、医療が死にかかわる意味なのだと思います。
人が目の前で死んで逝くという事実に対し、医療や介護に携わる専門職として行うべきことを明確にすることが、まさに今、求められています。そのなかで、死後のかかわりであるエンゼルケアは、どのような意義を持つのでしょうか。

 

参考文献:エンゼルメイク・アカデミアブック①『エンゼルケアのエビデンス!?』

boxunder.gif
undermark.gif underdescri.gif
会社案内 プライバシーポリシー