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エンゼルケアとは
エンゼルケアの意義

死を悼む行為のすべては、遺された人々が逝く人を思う気持ちから行われています。エンゼルケアは、「生から死に移行した患者さんと、そこに立ち会うご家族、ケアに携わる施術者自身になんらかの意味をもたらす行為」と定義しましたが、死後のかかわりであるエンゼルケアは、死に立ち会う人々の思いに寄り添うことがなにより優先されます。エンゼルケアとは、遺族ケアの要素が色濃いものなのです。
哲学者のV.ジャンケレヴィッチは「死の哲学は身近にいる人の死を契機としてなされる」と言っていますが、死を本当に学ぶには大切な存在を失う体験からしか学べないのです。身近な人の死は大きな喪失感と悲嘆をもたらしますが、その経験が死生観を養い、与えられたこの人生を大切に生き、いつか訪れる自らの死をも受け入れるための最高の学びの機会となるのです。
大切な人を亡くした人々にとっての死の体験は、その人が目の前からいなくなった後もずっと続きます。遺された人が死を受け入れていくには長い年月と周囲の援助を必要としますが、死別直後の時間もまた、死の受容へのよりどころをつくる上で重要な意味を持つと思います。エンゼルケアの場面は、最も恐れていた大切な人の死が現実化した絶望的な状況のため、そこに向き合うのは決して簡単なことではありませんが、生から死に移行した人の身体が目の前にあり、遺体現象が顕著ではなく血色や体温も残っているため、その人の存在を見て、触れて、感じることのできる貴重な場面なのです。死後直後に死に向き合いかかわることのできる環境を整えるということは、ご家族が目の前のご遺体を見て触れられる状況をつくるということです。
お別れのあり方にいいも悪いもありませんが、目の前に旅立ち逝く人の身体やぬくもりのある状況が確保されているのなら、その大切な体に触れ合いながら、泣いたり、笑ったり、声をかけるといった行為や感情が自然に表出される場面をつくっていただきたいと切に思います。
エンゼルケアの意義をまとめると、現代社会の人々が死に向きあい、死生観を養う場面をつくるということになるでしょう。そのためには、大切な人を失ったご家族の思いに寄り添い、これから刻々と変化していくご遺体にゆっくりと向き合える、かかわることのできる状況をつくりだすことです。
患者さんの死は、生前にかかわりを持つ医療者自身にとっても喪失をもたらします。医療者も逝く人を大切に思う遺された一員にほかなりません。喪失を共有する者として、いのちを大切に思う気持ちを表現し、「死」という無力な状況を受け入れるプロセスとしても、エンゼルケアは大切な時間となるはずです。

 

 

エンゼルケア(死後のケア)の意義と目的

 

・死に至った患者さんや死に立ち会うご家族に対し、これまでの看護の延長としてできる限りの援助を行う

・死後も患者さんの存在があることを認め、ご家族の意向を尊重しながら、患者さんの尊厳が死後も保たれるように配慮する。また、ご家族が死(ご遺体)に向き合い、かかわることのできる環境を整える。

・看護師自身も看護の区切りと考え、今後の看護業務への糧とする

 

 

参考文献:エンゼルメイク・アカデミアブック①『エンゼルケアのエビデンス!?』

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