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エンゼルケアとは
エンゼルケアの問題点と課題

日本の看護の歴史は戦争による負傷者や伝染病患者への対応を目的として明治期よりはじまりましたが、1889年(明治22年)に刊行された『看病学』には《患者死ニ瀕スルトキハ極メテ安静ヲ主トシ…》と、すでに死後処置に関する記述が見られます。現在でも、従来の方法を踏襲した死後の処置が多くの臨床の場で行われていると思いますが、「ほとんど意味を持たない死後処置が、明治時代からさほど変わることなく続けられている」ことが、エンゼルケアに関する問題点と課題を含んでいると言えるでしょう。
エンゼルケアの意義を考えると、ご家族の思いが反映されない、意味のない死後処置が業務的に医療者だけで行われている状況をすぐに変えていかなければならないのです。そのためには、エンゼルケアに関する知識や技術を得るための研究や教育を充実させること、備品やマニュアルを常備すること、死後ケアへの妥当な報酬を得る環境をつくること、デスケアカンファレンスなどでケアのふりかえりを行うことなど、さまざまに望まれることがありますが、「医療者自身が死のかかわりのなかに意味を見出す」ことが最も必要なことではないでしょうか。
死にかかわるのは医療ではないと考える方は少なくないでしょう。実際に「死について考えたくない」との声を、医療者から聞いたこともあります。治療や予防は医療の大切な要素ですが、それがすべてではありません。医療の本質は、「生・老・病・死」という「いのちの営みの全過程」にかかわることであり、死にかかわるのも医療の大切な側面だと思います。事実、死を経験する無力な人々は、多くの死を経験する専門職であるみなさんになんらかの援助を求めています。現代の日本人は「生・老・病・死」のすべてを医療に依存しているのです。
医療者自身が「死とはなにか?」について思いを馳せ、死に向き合い、死生観を養い、死のかかわりのなかに意味を見出していくことがよりよい医療環境をつくるはず、わたしたちはそのように考えています。

   

参考文献:エンゼルメイク・アカデミアブック①『エンゼルケアのエビデンス!?』

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