“ヨギニナース”のアカデミア日記⑤ | エンゼルメイク | エンゼルケア | 素敬
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“ヨギニナース”のアカデミア日記⑤
(2016.09.02)

エンゼルメイク・アカデミア、第5回目はホスピスチャプレン・カウンセラーの沼野尚美先生の講義でした。

「看取る心、看取る言葉」と題して、看護師とはまた違う、現場での患者さんとのやり取りを、臨場感たっぷりにお話くださいました。お話が面白くて、あっという間の3時間でした。

特に面白かったのは「看取り前の援助」のお話です。看取る時・看取り後はそれぞれの家族のストーリーがありますが、看取るちょっと前の時期も同様に患者さんと家族の様々な葛藤や生死に対する想いがあります。

「患者に対して」と「家族に対して」のそれぞれの援助のポイントを聞きながら、私が今働いている老健のデイケアでのことを思い出しました。

自分らしくなくなってしまうことへの恐れ。これは死が近づいている患者さんだけではなく、高齢の利用者さんも同じかもしれません。先日、デイケアの夏祭りで、ドレスを着て記念撮影をするイベントがあったのですが、ほぼ全員の利用者さんが本当に嬉しそうだったんです。自分の好きな色とデザインのドレスを選んで、好きなポーズで写真を撮る。ただそれだけのことですが、とても生き生きしてらっしゃいました。通常のご利用時でも、利用者さんにもよりますが、きちんとよそ行きの服を着て、入浴の後はお化粧をされる方もいるし、職員がマニキュアを塗って差し上げると照れながらもニコニコして爪を眺める光景も少なくありません。

メイクや服装を通じて、自分の「好きなもの、好きな在り方」をご自分で選び、体現するというのは、自分らしく生きることそのものだと感じます。看護師としては、そのような患者さんのお気持ちを大切にしたいし、デイケアにいる間だけでもそれを自由にできる環境を提供できたらと思いました。

それと、もう一つ。「大事にされたい」という想いも利用者さんから強く感じます。これも利用者さんにもよりますが、ちょっとしたことで子供みたいに拗ねたり怒ったりされるのを幾度となく見てきました。自分だけお茶をもらってないとか、自分の座っている席の配置が気に入らないとか。。死を近くに感じている患者さんとデイケアの利用者さんでは、また少し違うのかもしれませんが、やはり「大事にされたい、愛されたい」という想いは生きている間の重要項目であることに変わりはないような気がします。

病棟看護師として働いていた20代の頃、末期がんの患者さんから突然「もうきっと年末まで生きられないんやろ。。」と言われたり、「この体に私も癌も一緒にいるのだから、仲良くしていこうと思うんだ」と言われたり、怒りをぶつけられたり、、と色んなことがありましたが、どうして返答していいのか分からず、対応に困ったことが多々ありました。今思えば、「看護師として何かしてあげないといけない」と思っていたんですね。自分は若くて経験も浅いから分からないと言い訳しながら、実は全身全霊で自分の生死と向き合う患者さんに向き合うのが怖かった、とも言えます。

沼野先生のお話を聞いて、ただ患者さんの心に寄り添えばよかったのだと思いました。安心して想いを出せる場を作る、1人で苦しまなくて良いことを患者さんに伝える。その方法は看護師それぞれのやり方があるかもしれませんが、意識の持ち方は大切だと思いました。

また、これらのことは「自分に対して」も同じことが言えます。自分らしくある、自分を大事にする、自分に寄り添う。
看護師自身が自分と向き合い、自分を大切にして自分を満たすことで、援助の質も高まってくるのではないでしょうか。

エンゼルメイク・アカデミアも残すところ、あと2回。寂しいと思うのは私だけ、ではないはず!
これまで受講して、もし看護観や死生観など自分の中で気がついたことや変化したことがあれば、大切にしていきたいですね。




文章・イラスト:八幡 祐子
福井県福井市生まれ。看護師。大阪、神戸、イギリス、フィリピンなどでヨガやエネルギーワークを学ぶ。2014年秋にぬんヨガに出会い、現在も彼の元で型にはまらないヨガ実践を深めている。ヨガや瞑想を通じて「自分の人生を生きる」ことの大切さと楽しさを実感し、それを伝えていこうと、2014年末に治験コーディネーター職を退職。現在は看護師をしながら、ヨガティーチャーやお話会をメインに活動している。
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http://floweringyuko.blogspot.jp/



 

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