エンゼルメイク講習会、第3回目はいよいよ実技!
現役の湯灌士(ゆかんし)である大垣先生が、実際に行っているメイク技術を余すことなく伝授してくださいました。
尊体用メイク用品は、通常のメイク用品と比べて油分が多く、抜群の保湿力。見た目は通常のメイク用品と全く同じです。病院で働いていた頃は、最後に誰が使ったか分からないような、使い古しの化粧品で、「とりあえず」「なんとなく」患者さんに化粧をしていました。今はこんなにしっかりしたエンゼルメイク用品があるんだなーとびっくり。
はてさて、実習開始です!
4人一組のグループワーク。①女性患者、②男性患者、③黄疸患者の3パターンで、それぞれ患者役、ナース役、家族役を決めて実習を行います。
私は・・・もちろん黄疸患者役を立候補!黄疸症状の出た患者になる機会はなかなかないですからね(実際に黄疸になりたくはないし・・)
ということで、じゃん!!黄疸が出たまま亡くなったところ
特殊なスプレーを顔に吹きかけてもらい、顔全体がちょっと黄色いのが分かりますか?右半分だけメイクを施してもらいます。
向かって左半分がエンゼルメイク後、右半分は黄疸のまま。左側は黄色がきれいにカバーされて、よりナチュラルな肌色になっています。実際に触ってみると、油分が高いのでしっとりもちもちです。
エンゼルメイクは「混ぜる」が命。不自然に白くなったり、厚くなったりしないように、複数のリキッドファンデーションを調合していきます。これがなかなか難しい!!まさにアートです。
エンゼルメイク ≠ お化粧
そして、いつも「家族の思い」が中心にあります。
メイクの時間は限られているけれど、大切な人に声をかけ、時には家族もメイクに参加しながら、自然と湧き出る想いや言葉。エンゼルメイクを通じて、家族の関係性をもう一度確認し、「死」と向き合い、「生」と向き合い、最後のお別れまでの残された貴重な時間を共に過ごす。家族役をしながら、自分が死んだ時は・・・家族が死んだ時は・・・と想像し、感慨深いものがありました。
エンゼルメイクの実技を学んだ講習会。技術面だけではなく、その奥にあるエンゼルケアの本質を学ぶ素晴らしい時間でした。実践につながる技術を真剣な眼差しで学んでいる受講生さん達も、キラキラしていて印象的でした。
それと、もう一つ、ヨガ的な気づきもありました。
看護師役、家族役の受講生がそれぞれに声をかけあって、実際にエンゼルメイクの状況を再現したわけですが、それぞれの役割を通じて感じたことがありました。
看護師は患者の肌を傷めないように優しく触れて、「その人らしさ」とはどんなだろうと、家族の意向を聞きながら、メイクを施していきます。一方で、家族は患者の生前の様子や風貌などを看護師に伝え、家族なりに「その人らしさ」を出せるように精一杯のことをします。
看護師として何ができるのか
家族であれば、娘として、妻として、孫として・・・何ができるのか
故人との思い出を振り返る。自分は生前どんなことをしてあげられたかを振り返る。今、何ができるのか、どんなことをしてあげたいかを考える。お別れの時までその人らしくいられるように。
そして、そのプロセスの中で自分自身を見つめていく。もしかしたら、今まで気がつかなかった自分を見つけるかもしれないし、自分を認めることもできるかもしれません。
○○として。相手と自分との関係から、自分の役割を見定め、そこからできることを考える。そんなプロセスをエンゼルメイクの実習で垣間見たのでした。
ヨガをするとき、教えるとき、私は「役割」から離れて、「本当の自分」に戻ることが大切だと思っていました。ありのままの自分と向き合うために。でも、今回のエンゼルメイク実習を体験して、これは思い込みかもしれないと感じました。
自分を取り囲む役割のラベル(母、娘、看護師など)の奥にある、本当の自分をありのままに見つめることは、やはり大切だと思うし、ヨガはそのツールとして役立つとも思います。
でも、私はこの考え方から「役割にとらわれてはいけない!」と思い込み、自分の役割を見出すことを無意識に避けていました。縛られると自分が見えなくなると思ったから。
でも、役割を認識して、そこから自分を見つめ、できることを見つけることもできる。役割に執着したら苦しみが生まれるけど、役割を認識すること自体はいいも悪いもないですよね。
自分の思い込みから少し解放された気がして、とても楽になりました。
○○として、新しい気持ちで、今の自分にできることを行動にうつしていこうと思います。もちろん、ありのままの自分も忘れずに!