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エンゼルケアに関するQ&A
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ストマの処置について
ストマを造設されている患者さんが亡くなった場合、ご家族の依頼があれば、医師に依頼して腹腔内に戻していますが、帰宅後に不具合などはないのでしょうか?
回答者:株式会社プリエール 大垣 麻里 氏

ストマにつきましては、処置後に体液もれのようなトラブルはほとんどありませんので、ご心配ないと思います。現状では腹腔内に戻されず、そのままにしてパウチのみ交換の方が多いです。

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皮下気腫の具体的な除去法
皮下気腫の具体的な除去法を教えて下さい。
回答者:民政学院 伊藤 氏

皮下気腫は疾病、外傷、医療過誤、腐敗により見られます。皮下気腫の具体的な除去方法は以下の3法です。


?陽圧法(加圧法)
?陰圧法(吸引法)
?徒手マッサージ法

上記3法により、「皮下の気体は対外に排出」されますが、これはあくまでも「排出孔」が存在することが条件であり、表皮に排出孔がない場合には皮下の気体の除去は出来ません。そのために、上記3法を行う場合には事前に「排出孔」を確保する必要があり、表皮に注射針等を穿刺し「排出孔」を作成し、皮下の気体が対外に排出されるルートを確保します。


表皮穿刺は皮下針で行いますが、深い穿刺の弊害を考えると「血統測定穿刺針」が最適です。口腔内粘膜(上口唇内側、下口唇内側、舌下)には18G針を使い穿刺します。表皮の穿刺孔には辺縁性の乾燥(革皮様化)が生じるために、乾燥防止対策を合わせて行います。顔の穿刺部位は目蓋ではなく眉毛発生部等の選定は必要です。


?、?の方法は高圧酸素治療器があれば簡単に行える方法です。?は圧をかけて皮下の気体を「搾り出す」方法であり、?は陰圧をかけて皮下の気体を「吸い出す」方法です。?に関しては、「布団圧縮袋」を考えてみて貰えば理論が分かると思います。「ご遺体用の圧縮袋」があれば簡単ですが、絶対に儲からない商品(恐らく売れない)ために、商品化は難しいでしょう。ディスポで作っても2万円はかかると思われるために、HPでも使用は困難です。?はマッサージにて「揉み出す」方法であり、専用の器具類は必要ではなく最も簡便な方法です。


皮下の気体は「より上位部位に集積」するために、ご遺体では目蓋皮下に溜まりやすいです。特に目蓋は表にも薄く、皮下組織も薄いために気体の集積による膨張率が高く、注意が必要な部位です。これは、前頸部でも見られる症状です。額部や頬部は目蓋部と比べると、表皮も皮下組織も厚く処置としては然程必要はありません。


そのために、目蓋部分と口唇部分の「再膨張」が起こる可能性があり、この部位の「表皮の硬化と中心性萎縮」を行うことで、「再膨張」を抑制します。1?3を実施する時に、MP液またはMPゲル等の「蛋白質固定作用薬剤」を塗布しながら実施することで、表皮の硬化による再膨張の阻止と表皮の中心性萎縮による「気体の搾り出し効果」が生します。これにより、殆どの皮下気腫は除去が可能です。


ただし、ご遺体への「穿刺行為」を伴うために、法令的な問題はないにしても倫理的な問題が存在します。そのために、院内倫理委員会または施設の責任者に承諾とご家族の承諾が必要です。

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皮下気腫
現在、胃がんの胸腔浸潤で顔面、頚部、胸部、上肢の皮下気腫が著名に現れている方がおられます。顔面にも著名に出現しており、家族も面影のなくなりそうなお顔につらい思いをされています。現在の時点で、皮下気腫を軽減させる方法はありますでしょうか。また、近い将来旅立たれることとなった時、せめてお顔を患者さまの面影に近づけるようメイクできたらと思っています。メイクやケアでできることがあれば、教えてください。
回答者:GAM 氏

皮下気腫の治療は重度であれば切開をして排気します。顔面の皮下気腫は、耳の後ろ辺り(目立たない部分を選ぶ)を切開し排気すると、軽減する可能性があります。しかし、処置は医師が行うので、まず主治医に相談にする必要があります。亡くなられてから行う場合も同様です。他に留置針を局部に刺し、そこから排気することも可能なようです。しかし、どれも医師の協力がなくては出来ません。看護師に出来るケアとしては、日頃から皮膚に傷をつけないよう丁寧に扱う、手入れをきちんとして肌を綺麗な状態に保つといったことが中心となります。

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末梢循環不全により手指が黒色変化した場合の対応
重症感染症方で亡くなる数日前から末梢循環不全の兆候が現れ、特に指先の変化が強く黒紫色になりました。手は目立つ所なので(掛け物で隠すこともできますが)、指先や爪の変色のカバーの方法について教えていただけないでしょうか?また、この方のように末梢循環不全でダメージを受けた組織の死後の変化は、どのように経過して行くのでしょうか?
回答者:民政学院 伊藤 氏

まず、中枢部の黒紫に変色した部位は「腐敗」に至る場合が多いのですが、末梢部が黒紫色になった場合には「乾燥」にすすむことが一般的であり、ほとんどの場合は乾燥して硬化し、黒褐色となり萎縮します。しかし、この死後変化は死後5日位は時間が必要であり、死後3日以内に火葬される国内では通常は見られませんが、不適切な冷蔵庫に保管した場合などは死後48時間以内に見られることもあります。


黒紫色になるのはネクローシス、組織内に硫化水素等が出ているためであり、これを隠すためには表面の漂白化もしくは組織の漂白化しかありません。仮にエンバーミングを行ったとしても経血管的には薬剤が入らない(末梢循環不全のため)ので、通常のエンバーミングでは組織内の漂白は出来ません。そのために、この部位の組織内漂白を行うためには指頭に対する「漂白効果のある皮下注」しかありません。この時の薬剤は“株式会社 素敬 の MP”を使用します。特に爪床の漂白化には、この方法しかありません。


外部漂白を行い油性のメイク剤を使用し、爪にはマニキュアを塗る方法が一般的ですが、この場合の薬剤も“MP”もしくは“クレゾール液原液”等を塗布すれば、表皮の硬化と漂白が行え「表皮の白化」が出来ます。その後、表皮の薬剤を拭き取り(水を漬けたガーゼで何回か拭き取る)、メイク剤で仕上げてパウダーで安定化させます。ご遺体専用の“カラー・スプレー”(アメリカ製)であれば、漂白化は必要ありませんが、末梢組織の安定化は出来ず「色以外の部分が不安定になります」。

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防水処理手順、テープの剥離について

・背側にあるチューブ類を抜去し、縫合・防水テープで固定しても、けっこう体液の漏出は見られるのでしょうか?病棟でも可能な防水処理手順をお教え下さい。(MPゲルなどの使用はまだ保留中です)


・挿管チューブでしっかりテープ固定をしているのを剥がすとき、病棟ではベンジンなど使用していることがあるようですが、あまり皮膚には良いとは思えません。ストーマのパウチを剥がすときに使うリムーバーの使用はいかがでしょうか?

回答者:民政学院 伊藤 氏

生体と異なり、ご遺体では心肺機能が停止しており、特に心臓機能の停止がご遺体特有の症状(現象)を引き起こします。心臓の拍出があれば物理的作用に循環が勝ります。これは、心臓よりも高位置にある脳に血液が供給されることを考えれば分かると思いますが、重力よりも心拍出力(圧)が勝り、脳は虚血から守られています。


しかし、死亡(心臓死)により心臓機能が停止した状態となると、体内では物理的作用である「重力による降下現象」が始まります。代表的な現象としては、「死斑」と「顔面の蒼白化」があります。概ね、死後30分程度から目視出来る様になりますが、厳密には死亡直後から始まっています。ご遺体拘束処置による腫脹(主に浮腫)も物理的作用に逆らった拘束処置を行った結果となります。


ご遺体では、重力の上側(前胸部や前腹部)を切開(解剖等)しても血液は出ませんが、重力の下側(後胸部や後腰部)を切開すると血液は噴出さない(拍動がない)が、血液が滲んでくることがあります。そのために、腋窩線より重力的下方部位の処置には注意が必要です。通常ご遺体であれば、微量の沈降血液、浮腫の強いご遺体であれば水性体液が滲む可能性があります。量的にはビチャビチャと出る程ではなく、大抵は多くても数ミリリットル以下ですので、特別に大げさな処置は必要ありません。ナートをした後に「ノベクタン・スプレー」等をしておけば問題となることはあまりありません。ナート+防水テープであれば問題は少ないと考えます。防水テープをはるときは、密着を良くして「空気等を入れないようにして下さい」。災害現場ではラップ(サランラップ等)を使用しますが、これでも問題となる(漏液や出血)事はほとんどありません。MPゲルは「面に作用性が高い」ために、ナート部位等にも有効ですが、テーピングを確りすれば後面の小ナート部の漏は特別に難しい処置ではありません。


生体では「反復的な貼りと剥がし」があるために、生体拒絶反応の弱い物や安全性の高い物の使用が基本であり、ベンジンはお勧めできません。しかし、ご遺体においてはベンジンの反復使用は考えられずに、「1度きり」であればベンジンのご遺体に対する悪影響は微細であり、患者さんに使用するのとは若干、考え方が異なります。そのために、ご遺体にも生体用のリムバーを使用する方が良いのですが、その剥離効果が弱く何度もリムバーを付けたり、無理やり剥がす様であれば、かえって強い剥離剤の方が、トータル的には損傷が少ない場合もあります。
テープのノリを剥がすために、擦る行為は「ご遺体の表皮を痛めます」。そのために、生体安全性は重要ですが「ご遺体安全性」は別の観点で見なければいけない部分もあります。

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腹壁からの腸管脱出時の対応について
腹壁から腸が飛び出てしまった患者さんです。エンゼルケアの際にできる限りご本人、ご家族に苦痛のないようにケアを行いたいと思っていますが、脱出した腸管はどのようにケアをしたらよいでしょうか?
回答者:民政学院 伊藤 氏

腹壁損失により腸管が逸脱した患者さんには、持続した腹膜炎等の炎症症状が見られると思います。そのために、逸脱した腸管(今回の症例では回腸か空腸と推測される)は赤黒く変色(炎症のために)していると考えられます。この症状の患者さんが死亡した場合には、腹腔内の死後変化(死後悪化)が進行します。基本的には細菌のガス産出により「腹腔内圧」の上昇が起こりますが、腹壁損失部位よりガスの漏出が起こりますので、通常の腐敗ご遺体の様な腹腔内と胸腔内の圧力上昇は生じずに、口や鼻からの漏液や脱糞は起こり辛いといえます。その半面に、腹壁損失部位から腸管が押し出される症状が発生し、死後経過時間と共に「腸管が逸脱して来ます」。


対策としては、死後に消毒薬剤を開放部位より100m?程度注入し、腹腔内の死後変化を最小限にします。薬剤による腹腔内洗浄を行えば更に効果は高いのですが、薬剤注入だけでも火葬までの3日間程度は問題なく管理が出来ます。(ご遺体変化抑制)消毒薬剤は蛋白質固定作用のあるアルデヒド系が最適ですが、ペルオキシターゼ反応を呈する過酸化水素等は禁忌です。(第1回アカデミアで実施)具体的には、ホルマリン15%溶液、グルタルアルデヒド3?5%溶液(ステリハイドの濃い目)、MP液を使用します。


その後に、逸脱する腸管にMPゲルを塗布し(MPゲルのない場合は、前述のホルマリン溶液やグルタルアルデヒド溶液にワセリンを加えてゲル状にする)、逸脱する腸管に1cm程度の切開を加え(ガスのドレナージ)、綿花かガーゼで押し込みます。(解剖時の臓器収納も同様)その後に、ナートも可能ですが開放部が大きいとナートは困難であり、ドレープ・シート(テープ)で開放部を広範に覆います。この時に、ドレープ・シートと腸管が接触すると障害が生ずるために、必ず綿花かガーゼを使用して「直接接触」を防止します。


この処置で死後3日(概ね5日以内)の適正ご遺体管理は行えます。日本では、死後3日以内の火葬が殆どですので、国内ではこの方法が良いと思います。ストマは直接腸管開放のために、腸管内圧が上昇(主として結腸)した場合にはドレナージ効果があるために、腹腔内撒腫性転移があった場合でも、他の敗血症ご遺体ほどの腹腔・胸腔内圧上昇症候群の様な劇症的死後変化を来たさない傾向があります。ただし、感染症ご遺体に分類されるために、「要注意分類?ご遺体」と考えてよいです。

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臨床での死後硬直
臨床の経験では、DICを起こしていた患者さんの死後硬直が他の人と比較して、とても早い印象があるのですが、実際はどうなのでしょうか?
回答者:民政学院 伊藤 氏

血小板抑制作用のある塩酸チクロピジンは、TCAサイクルに影響を与えるためにこれらの薬剤を投与されている患者さんの死後硬直は、経験的には早い傾向がありますが、これに関する研究や発表は国内ではないと思います。塩酸チクロピジンの影響は15年ほど前に研究を始めようとした時に、東京都を退職することなり、手付かずになってしまいました。塩酸チクロピジンはADPに作用するために、ATPとADPに関与すると思われます。


しかし、DICではヘパリンは投与しますが、塩酸チクロピジンは使わないはずですので、これらの抗凝固剤による「副作用」は否定できると思います。学校で教わった凝固系の「喰うやつ十五人、宣言スト」から見ても、DICと塩酸チクロピジンは結ばれません。最新のDIC治療は判りませんので、どの様な投薬がなされているのかは判りませんが、「ATPとADPに関与する薬剤投与」があれば、その影響は否定できません。DICの源疾患から見ても、死後硬直の早期出現は結びつきません。


最も考えられる事としては、「死線期の症状」としての「痙攣」の有無です。
死線期に痙攣等の発作を起こしていた患者さんでは、死後硬直が早く現れることが度々あります。アダムス・ストークス(下顎呼吸)のある患者さんでも、早期に下顎硬直が起こる場合があります。そのために、死後硬直は男女差、年齢差がありますが、これは患者さんの筋量に比例し、また、死亡前の状態(筋を使った運動・作業中、痙攣等)も大きく影響を与えます。また、ショックの有無は影響を与えると思います。


DICイコール早期死後硬直とはなりませんが、臨床症状(痙攣や体温等)や投薬により死後硬直出現速度は変わります。

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