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エンゼルケアに関するQ&A
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鼻や口から出血が止まらない場合の処置方法
鼻や口から出血が止まらない場合の処置方法を教えて下さい。
回答者:おふぃすゆとり 川口 氏

出血が止まらない場合は、出血の原因が何かを突き止めることが重要です。死後直後から起こる腐敗により、ガスが発生して腹腔内の圧迫で出血してきた場合や、事故などの脳内損傷で出血している場合などがあります。脳内損傷の場合は時間と共に沈下しますので、落ち着くまで綿花やガーゼで吸い取り、漏洩している部分を塞いでしまいます。(頭部の下位からの出血は止り難いです)腐敗による場合は、薬剤を使用しています。腐敗を止めないと漏洩は止りません。必要な箇所に薬剤投与を直接行います。薬剤が効いてくると自然と漏洩は止ります。ただ、この場合はどのような薬剤を使用するのか、また、薬剤が使用できるのかは病棟により困難な場合が多いと思います。私たちの場合は、家族と相談の上、薬剤が必要な場合は投与していますが、それは時間が経っているという事で家族の気持ちが落ち着いていますから、話し易く投与し易いのですが、病棟では難しい場合があります。重要なのは、何故出血しているのか、どうしてそういう状況なのかを詳しく家族に説明して納得して頂くことです。何も分からないまま病院を出立すれば家族は不安で仕方がありません。どうすれば、その状況が回避されるのか、また、それ以後どうなるのかをお話しすることが重要です。納得して出立されるようにしてください。

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食道静脈瘤破裂後の処置について
食道静脈瘤が破裂し急変されて亡くなられたケースです。吸引できる範囲で、吸引をしたようですが、お迎えの移動の際に口腔や鼻腔より血液があふれて困ったという事例があったようです。どのように、処置をしておけばよかったですか?
回答者:民政学院 伊藤 氏

おそらくLCからのバリックスと考えられます。LCにより死亡前からの出血傾向に加えて、凝固因子の低下、TPや膠質浸透圧の低下、毛細血管の拡張、Anemia、Edema等の悪条件が整っています。バリックスの場合は「マーゲンチューブを使用しての吸引」が基本ですが、破裂から死亡までの時間が短い症例では、死亡確認後の「じわりじわりと出血」が見られ、これらの血液には「凝固が見られません」。そのために、マーゲンチューブを使用しても1時間も経つと「出血が溜まっている」ことは度々見られる現象です。


特にご遺体に外力が加わると(体位変動、衣類の着脱、腹部や胸部の圧迫等)、破裂部位からの出血が生じやすくなります。最終的には、死斑が安定する死後3時間程度が経過すると、破裂部位からの出血はほとんど無くなります。そのために、死後の早い時間に「帰院」させることはハイリスクと考えていますので、死後3時間程度は「ご遺体を管理する必要性があります」。


特にLCのあるご遺体では「血管透過性亢進」があり、死後経過時間が経ってから(通常は死後6時間以降)に鼻や耳からの漏液(多量ではない、漿液性)が始まります。ご遺体の変化は「遅延性」ですが、LCがある場合の漏液も遅延性が特徴です。


今回のケースについては、吸引が早すぎた、破裂部位の止血処置をしていない、帰院時期が早すぎる等が考えられます。また、高分子吸収剤は鼻や耳、口腔や咽頭、肛門では「効果はほとんど無い」のですが(効果は無いが儲かる)、胃での使用については効果があります。そのために、マーゲンチューブ等で胃内に「高分子吸収剤を20グラム」程度入れれば、上身挙上で「胃内での固化」が可能となり問題は解決します。または、破裂部位の「蛋白質固定法」を行えば大丈夫です。

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イレウス⇒パンペリ?症例
胃癌末期でイレウス、腸穿孔で死亡(腹水あり)。翌日の夕方Pt家族より電話「目鼻口から透明な水、体がベチャベチャでどうしたら良いのか」とちょっと怒って電話あり。主治医が対応したが、何故色々な所から水が出たのか?どうしたらよかったのか?
回答者:民政学院 伊藤 氏

腹水の検査データが判りませんので断定は出来ませんが、腹膜炎(癌細胞性またはパンペリ等)があったと思われます。そのために、死後短時間で腹腔内の腐敗が急激かつ激しく進行したと思われます。これに伴い、腹腔内圧が上昇し横隔膜への圧迫が生じ、胸腔内圧の上昇が起こります。死亡前のintake & outputが判りませんが、outputが少ない場合や肺炎や肺水腫等を併発していた場合は、胸腔内圧の上昇により容易に口や鼻から液体の漏れが起こります。漏液の色調から考えて、「腐敗初期?中期状態」となったと思われます。


特に注意を要する症状は敗血症、腹膜炎、肺炎等の炎症(高体温)であり、この患者さんも死亡前にこれらの症状を呈していた可能性があります。特に腸管穿孔であれば腐敗の異常亢進が生じても不思議ではありません。対処方法としては、死亡直後からの冷却処置、または腹腔内への薬剤投与(注射)があります。恐らく、この症例においてもこれらの処置を行っていれば腐敗を抑制することが可能であったことから、これほどまでの死後変化は生じなかった可能性が高いと言えます。投与する薬剤は抗生剤等では効果はありません。前述の「ご遺体専用薬剤等」を使用します。

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漏れ液の対応
浸出液のある患者(リンパ漏など)の死後処置の方法を具体的に教えてもらえないでしょうか?ホームページにて、MPクリームと表記されていましたが、どういう物でしようか?また、薬剤を調合して行えると書いてあったのですが、どのようにしたら作ることができるのでしようか?できるだけ詳しく教えてください。
回答者:民政学院 伊藤 氏

リンパ漏れには皮下のリンパ漏れ(リンパ浮腫)と皮膚外への漏れ液の2パターンがあり、今回は後者の漏れ液タイプに分類されます。皮下のリンパ浮腫には生体と同様の「弾性包帯拘束は禁忌」であり、患者さんの死後は「解放」することが基本です。漏れ液タイプに対する考え方は2方式があります。時間がある場合は、「浸透圧減張法」が行え皮下の浮腫を除去しながら漏れ液を停止させますが、これには45?60分程度の時間が必要です。そのため、現在行われている院内環境下のエンゼルメイクでは困難と思われます。


そのために、短時間で持続する処置である「蛋白質固定法」が現時点でのエンゼルメイクではお奨めです。MPゲル(MPクリームではない)またはMP液(HPには載せていない裏メニュー商品)を塗布やパックします。これにより表皮の硬化と収縮、蛋白質変性(固定)が生じ、漏れ液は停止または著しく低下します。
MPゲルの場合は患部に塗布し、15分程経過した後に拭取り、再度塗布を実施しラップ(サランラップ等)で患部をラッピングします。この上からガーゼや包帯(弾性包帯は注意が必要)でカバーします。


MPゲルやMP液がない場合には、ホルマリンやグルタルアルデヒドでも代用は可能ですが、先日、関西地方のHPでこの話をしたところ、看護部から薬剤部にホルマリンを請求したことが「院内で問題となった」と聞きました。法令的には労安法等で「院内の使用は認められています」が、ご遺体の患部にホルマリン等を使用することへの拒絶感や知らないことへの拒絶感から、「院内の倫理委員会」にかかることとなったと聞いています。「死後処置からエンゼルメイクへの変換は、院内の障壁が大きい」のも事実です。


ご遺体の患部や創部に対してホルマリンやグルタルアルデヒド、その他を薬剤部や病理部から提供されることで問題が生じるのであれば、看護部独自で「ご遺体専用薬剤等商品」の購入をすることを奨めます。私自身は「化学」も勉強してきたために化学薬剤に対する資格もあり、化学薬剤に対する取り扱いには慣れていますが、看護師さんは医薬品の扱いには慣れていますが化学薬剤の扱いには慣れていないために、法令的には「院内は適応外」であっても、安全性や前記の様な問題が出る可能性も否定は出来ませんので、院内コンセンサスも重要な課題です。

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口腔内の悪性黒色腫の患者さんについて
口腔内の悪性黒色腫の患者さんで、腫瘍で両鼻腔は完全に閉塞し、出血、滲出液がひどく常に流れ出ている状態になっているのですが、保清をどうするか悩んでいます。アルコールで口腔内を清潔にするだけでよいのか、それとも、MPゲルを塗布するのか、その他の方法があるのか教えていただけたらと思います。MPゲルの具体的な塗り方も併せて教えてください。
回答者:民政学院 伊藤 氏

創部や患部が「湿性」である場合にはMPゲルは有効な手段です。しかし、湿性=有機物を意味しており、MPゲルの主成分は「蛋白質凝固作用」である事から、他の消毒薬と同様に「有機物の存在下では効果が低下」します。そのために、ガーゼや綿花、酒精綿等で漏液や付着した有機物(汚れや血液等の体液)を拭き取ってから使用すると効果が上がります。またはMPゲルを1度塗布し、5?10分程度経過してからこれを拭き取り、再びMPゲルを塗布すれば効果は上がります。


そのために顔に育った腫瘍や穿破した腫瘍には効果がありますが、MPゲルの皮下への浸透効果は1センチメートル以下のために、肥大化した場合にはMPゲル剤単独使用ではなく、MP液のIM(皮下注)との併用が必要な場合もあります。表皮剥奪や擦過傷程度の浅い傷には、綿球等でMP液を塗布するだけでも充分な効果があります。

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出血傾向のある方のポイント
出血傾向のある方(肝硬変・肝機能障害)が亡くなられ、肘関節にCVC(16G)挿入していたため、抜去したところ出血が止まらなく、1時間ほど止血し、帰宅してもらいましたが、自宅に帰られてから背中まで大量出血されたという事例がありました。1?2針ナートしたほうがよかったのか、どう処置をすればこのようなことが起こらなかったのか教えていただきたいことと、出血傾向のある方のエンゼルメイクのポイント・内出血藩が背中半分まで黒ずんでしまったため、内出血班に対するカバーメイクを教えてください。
回答者:民政学院 伊藤 氏

LC等の原因があり出血傾向がある患者さんや多量補液にて血液が希釈された状態で死亡した場合には、患者さんの死後に強い出血傾向を見る事があります。特にご遺体において見られる問題は、ご遺体の外に出る出血とご遺体の皮下に広がる出血になります。凝固系に問題のないご遺体であっても死亡直後より凝固系の崩壊が始まり、死後数時間以内にご遺体内はDIC状態となります。そのために血管穿刺部位や損傷部位からの「漏れ血」が持続します。この漏れ血は通常の全血とは性状が異なり、血小板等がほとんど無く血漿に僅かな血球が加わった「薄い血」であり更に止血効果が少ない状態となっています。


生体であれば血小板減少性紫斑病等の血内で見られる症状が現れます。通常のご遺体でも見られますが、LC等の肝機能不全や多臓器不全、血内系疾患ではこれらの症状が強く現れます。しかし、生体と異なり心拍が停止した状態である事から、「噴き出し」は見られずに、「じわりじわり」と漏れ出す、浸み出すとの時間を掛けて状態悪化が進行します。ご遺体の変化の特徴は「遅延性変化」であり死後数時間以降の変化が特徴である事から、死亡退院後のご遺体悪化が問題となりますが葬儀領域ではこれらの悪化を抑える事も適切な対応をする事は不可能であり、対処法としてのガーゼや綿花の交換、皮下出血部位へのチーク等しか出来ません。


そのために、死亡直後の院内での適切な処置は非常に重要となります。留置の抜去に伴うナートは度々見られますが、ナイロン糸での外科縫合であれば効果は殆どありません。1?2針程度のナートでは体外に出る出血を止める事は不可能であり、血管の穴を塞ぐ事も表皮の外科縫合では不可能です。根本的な対策は血管の結紮かクリッピングしかありません。仮に外科縫合で体外に対する出血が止まったとしても、皮下への出血は停止せずに皮下組織への浸潤は進んで行きます。


そのために、死亡直後に行うべき処置は以下の通りです。



縫合  ナイロン糸での外科縫合を行わない

絹糸や木綿糸を使用してのZ縫合やN縫合(巾着縫合)を行う



圧迫  タンポンや砂袋等を用いて死後数時間の圧迫止血


瀉血  留置針抜去前に500?1,000m?程度の瀉血を行う

200?300m?以上の瀉血であれば有効



薬剤  血管穿刺部位周囲に対しての皮下凝固薬剤の注入

SPを血管穿刺孔周囲に皮下注射する事により、血管穿刺孔周囲の

圧迫が可能となり、血管穿刺孔自体の栓効果も期待出来る



結紮  1?2cm程度の皮切を行い血管自体の結紮やクリッピングを実施



これらが死亡直後に求められる処置です。一度皮外への出血や皮下への出血がある場合には、対処はカバーメイクや綿花、ガーゼの交換等しかありません。ドレープ材の使用も可能ですが、皮膚とドレープ材との間に血液が染み出して剥がれるためにお勧めする方法ではありません。

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