boxtop.gif
qahyoudai.gif
エンゼルメイクに関するQ&A
qatop.gif
黄疸がある方のメイク
黄疸は死後も変化し、黄色から緑、灰色と変化していくことを教えて頂きました。変化がある中で、死後直後の黄色味を帯びた肌を、普段の肌色に近い状態にするには、ベースに何色を足すとよいのでしょうか?
回答者:株式会社プリエール 大垣 麻里 氏

ほとんどの場合は黄色のままで、緑、灰色と変化するのはまれです。色白の方はその方の本来の肌色ベースで大丈夫だと思います。ただ、ピンクベージュではなくイエローベージュ系の方が白浮きせず自然に見えます。色黒の方は(透析によりどす黒い方も)最初に黄色のコントロールカラーを薄く全体にのばしておき、その後にその方の本来の肌の色を乗せられたら自然に仕上がると思います。

qabottom.gif
qatop.gif
ファンデーションの選択について
アカデミアに参加してファンデーションの調合の仕方は理解できたのですが、実際にメイクする際どこの肌色に合わせれば一番患者さん自身の肌色に近づくことが出来るのか悩みます。何かいい目安はないでしょうか?
回答者:株式会社プリエール 大垣 麻里 氏

調合した肌色が合うかどうかは、額のあたりなどまず広い所にファンデーションをのせてみて、患者さんの肌色と差がなく少し明るめになるか確認するのが良いと思います。あまりにも色味が違っていたらその時点で調合し直します。

qabottom.gif
qatop.gif
市販のクレンジング剤の選び方
市販のクレンジング剤を使用してもいいのでしょうか?
回答者:株式会社プリエール 大垣 麻里 氏

市販品で大丈夫です。クレンジングはクリームタイプ→ミルクタイプ→オイルタイプと大きく分けて3種類あります。ご遺体への保湿と皮膚感のバランスを考えますと、市販品では少ないですがミルクタイプがいいと思いますので、選ばれる際に参考にされてください。

qabottom.gif
qatop.gif
湯灌をすすめた際のメイクについて
湯灌をすすめることがありますが、病院ではお化粧をどのようにしておいたらいいでしょうか?
回答者:株式会社プリエール 大垣 麻里 氏

退院時に湯灌をされるおつもりで自宅に帰られても、その後の事情により湯灌されないことも多くあります。ご家族で“お世話になった看護師さんがお化粧してくれた”と喜んでおられる場合は、湯灌してもお化粧をそのままにしておくこともありますし、また反対にご生前の印象と違う場合には直させていただきます。このように退院後のことは予測がつきにくいので、病院でそのときにできうる最善の処置といいますか、最善のお化粧をされることがその後につながることになると思います。

qabottom.gif
qatop.gif
男性の髭の剃り方について
男性の髭が上手く剃れません。コツを教えて下さい。
回答者:おふぃすゆとり 川口 氏

T字剃刀では限界があるので、出来ればI字の剃刀をおすすめします。髭が伸びている場合は、一度はさみで短く切ってから剃ります。また、硬い場合はヒゲに少し水分を含ませて柔らかくすると剃り易いです。水分を含ませたタオルやペーパータオルで少しパックしてあげます。水は冷たくても大丈夫です。水分のない筆より、墨を吸った筆のほうが柔らかいのと同じです。後は、肌を十分に伸ばして剃りましょう。T字剃刀を使う場合には、刃より遠くの柄を持って剃りましょう。力を入れすぎないように注意して下さい。

qabottom.gif
qatop.gif
化粧品と選択肢を増やすこと
エンゼルメイクをする時は、生前愛用していた化粧品を使うことが多いのですが、あまり良くないということでしょうか?遺体は血が出ないから痂皮をとると教えていただきましたが、遺体になっても尊厳は守られるべきと考えています。家族が見たときに見栄がよければ何をしてもいいということではないと思うのですが、やはり見栄が優先でしょうか?
回答者:民政学院 伊藤 氏

生体用の化粧剤をご遺体に使用することは可能です。しかし、生体用の化粧剤は体温のある生体に対して最も効果を発する商品であり、死後経過時間とともにご遺体体温が25℃以下になったご遺体には、生体と同様の効果は出ません。そのために、死亡直後であれば生体と同様の化粧効果、被覆(皮膜)効果はありますが、時間経過とともに効果は衰退し乾燥を誘発します。例えば、朝起きて洗顔し化粧を施し、夜帰宅後に洗顔をして化粧を落とします。しかし、ご遺体ではメイク前の洗顔は行われてもメイク落しや洗顔は行われません。院内で行ったメイクを6時間程度で落とすと仮定すれば、生前愛用品でも問題は露見しませんが、少なくとも12時間以降も持続する場合には、生前愛用品は至適とは言えません。生体用の化粧剤は皮膚過敏性の問題もあり、12時間以上の持続には不向きであり、化粧直しを基本とします。そのために、退院のためのメイクと考えれば生前愛用品でも可能ですが、国内では死後3日で火葬のために、自宅に帰ってから保湿効果の高い化粧剤の使用を家族に勧めて下さい。


痂皮を剥がしての修復メイクは「1選択肢」に過ぎません。全ての処置にはメリットとデメリットがあり、それを選択するのはご家族です。例えば、顔に外傷があり痂皮が形成されている場合は、


?何もしない
?外傷部・痂皮部にガーゼを貼りテープでとめる
?外傷部・痂皮部の上からメイクをする
?外傷部・痂皮部を修復しメイクをする

各処置にはメリット・デメリットがあり、これらをご家族に十分に説明をして、そう上でご家族の判断・選択に従った処置を行うべきです。そのためには、医療施設内で行えるメイクのレパートリーを増やす(選択肢を増やす)ことが重要です。当院ではこれしかしません・出来ませんは医療今供給者としては、勉強不足と言えます。例えば、検診で癌が発見されました。その段階で担当医は患者さんに対して、現在の状況、予後、各治療方法を十分に説明し、患者さん選択をして貰います。確かに、医学知識のない患者さんに正確な選択が行えるかは疑問な部分もありますが、インフォームドコンセントを確実に行えば、患者さんやご家族はかなりの確立で性格は判断(選択)が出来ると思います。癌が告知された場合も、何もしない、祈祷師・宗教を頼る、外科的処置、化学療法、放射線照射、放射線源挿入等があります。その中で、「当院は外科手術しかいません」では十分な医療体制とは言えません。医療スタッフの行うエンゼルメイクは医療の延長線上であり、医療に準じて行う必要性があります。そのために、従来から行われてきた「死後処置」では、お仕着せの処置となります。今まではご家族に対して、「処置をしますから部屋を出てください」でしたが、「5W+1H」を説明してご家族の判断を仰ぐ必要があります。その上で、ご家族の希望に沿うのが最後のケアです。


見栄を気にして、見栄を優先するのは葬儀の商品としての「ご遺体処置オプション商品」であり、医療スタッフの行うエンゼルメイクはご遺体とご家族のための物であり、葬儀の参列者に対する見栄は除外します。5万円の棺に入っているご遺体と100万円の棺に入っているご遺体では、100万円の棺の方が見栄はいいですが、人格や生き方に相関しているとは言えません。結婚式や葬式は「人の見栄」により収益が増減する商売ですが、医療スタッフでは無縁な世界です。相部屋の患者さんであっても特室の患者さんであっても、同じ患者さんです。


痂皮を剥がして修復をすれば見栄えが良いですが、痂皮を剥がすことの意味とデメリットを十分に説明した上で、ご家族が望まれるのであれば「痂皮を剥がす」ことも取り入れてみては如何ですか?

qabottom.gif
qatop.gif
保湿剤について
病院でメイク道具の検討をしています。病院で供給できるものがあれば使用をしていこうというということで、乳液の代わりに白色ワセリンの使用を検討していますがどうでしょうか。
回答者:民政学院 伊藤 氏

ワセリンは皮膜効果が高く、乾燥防止には最適な物です。ただし、乳液とワセリンでは目的と効果が若干異なりますので、共に保湿効果はありますが使い分けが必要です。


例えば、クリームなどに尿素入りの物がありますが、生体であれば尿素の保湿効果はありますが、ご遺体では尿素の効果は塗布では期待できません。化粧水や乳液は表皮や皮下織に吸収して効果を発揮しますが、ワセリンはあくまでも「皮膜効果」であり表皮に膜を1枚作り表皮と外気を遮断することにより、乾燥を防ぎます。そのため、ワセリンは非吸収性物質です。


ご遺体の乾燥防止では流パラ(グリ浣も同様)、パラフィン、ワセリン等が使用できますが、乾燥防止ではワセリンが最も優れています。常温下では流パラは液体、パラフィンは固体、ワセリンは半固体(非晶質・コロイド状)です。パラフィンの融点は50℃以上であり、添加物を入れなければ常温下でご遺体への使用は難しい部分があります。逆に、この作用を利用して「ご遺体の修復」にはパラフィンを使用します。ワセリンの融点は38℃(36?60℃)であり、死亡直後の体温でも「伸びが良い」ために使いやすい物です。特に温度が低下しても「固まらない」ために、死後のご遺体の温度変化にも適応性が良い性状と言えます。


動物脂肪や植物油は温度低下で固まる傾向が強く(ラード等を考えれば理解できるが、フライパンで肉を焼いた時、フライパンの温度が下がると白い油の塊が出来る)、ご遺体の温度変化や冷蔵等には対応出来ません。しかし、非常に安定しているワセリンでも、光酸化現象が起こります。紫外線により光酸化が引き起こされるために、冷蔵庫内の紫外線や室内の蛍光灯でも僅かですが光酸化が引き起こされます。光酸化によりワセリンは「黄色く変化」します。白色ワセリンは黄色ワセリンよりも脱色を行った状態ですが、白色ワセリンも黄色ワセリンも「乾燥防止効果は同じ」です。


ワセリン100%の物よりも、「親水性ワセリン」の方が使用しやすいと思います。親水性ワセリンは湿った肌への伸びがよく、乾燥した状態で使用するよりも「薄付け」が可能となります。ワセリン使用の注意点は、「厚塗り、厚付けをしない」点です。また、ワセリンは光沢性がありますので、ワセリンを塗った後には、パウダー系の化粧品(テカリ防止のフィニッシング・パウダー)を使用してテカリ対策を行う必要があります。また、ワセリンに消毒薬を添加して使用する方法もあります。


以上により、ワセリンはご遺体に使用できる材質です。

qabottom.gif
boxunder.gif
undermark.gif underdescri.gif
会社案内 プライバシーポリシー