技術的なことは多少のことで、実は激しいるいそうの場合は含み綿では限界があると思います。特に、こめかみ、眼窩、頬骨の真下、あごの下は綿が届きません。届く範囲で不自然さの出ないように控えめに整えるしかないと思います。もし含み綿以外の方法をということでしたら、美容整形のイメージを持っていただいたらよいのですが、各部位にシリコンのようなものを直接注入して、容貌を整えています。この方法だととても自然に整容することができますが、注入には針を使用しますので、ご家族への充分な説明と理解が必要です。
骨と皮だけになってしまった患者様の顔のるい痩を補整するには、素敬商品のSPゲルを使用するのが最も効果的だと思います。筋肉が痩せ衰え瞼を閉じることが出来ず開眼している時も、自然な形で閉眼することが可能となります。使用方法も看護師であれば難しくはありません。しかし、SPゲルを使用した顔のるい痩補整は、ご遺体の表面に化粧をするのとは違い、ご遺体そのものに薬液を注入し手を加えるので、元の状態に戻すことは出来なくなります。また、ゲル注入時にご遺体に直接針を刺すことになり侵襲を伴います。そのため、病院等施設内でSPゲルの注入を行う時には、倫理面に十分配慮する必要があります。指針や同意書の作成、同僚・管理者の理解を得る、施設内の倫理委員会の承認を得るといった流れを経て、ようやく施設内でのるい痩補整が可能となります。施設に使用を認めてもらうのは大変ですが、顔のるい痩に伴う患者・家族の悲しみを少しでも癒すお手伝いをするために、一度導入を検討されてみてはいかがでしょうか。